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なぜならそこには駿がいたからだ。 「あっ、あっ、…………。ごっ、ご、ごめんなさ…」「どうしたの?そんなおびえないで?」 怒られると思っていたのに、なぜか彼は優しい声で話しかけてくれた。 「あの……。あいつらのせいで泣いてるんでしょ?」 「えっ………は…い。」 「ヒデェよな…早瀬さんは、あいつらに何もしてないだろ?」 おかしい。この人は私を少なくとも、いい印象は持ってないはず。 なのに、なんでこんな態度をとるの……? わけが分からない…。 「んー、もしかして昨日のことかな。」 頭をかきながら駿は言った。 私は、強くうなずいた。 「なるほどね…。でも俺、あの時はキレとたけど、今は何とも思ってないから。」 「えっ!?」 「本当だよ。服を汚したことだろ?そのことならもういいよ。」 !!じゃあ、これでもういじめれないんだ!! 「本当にごめんなさい。私の不注意で……。」 「はは、いいんだよ。前向いてなかった俺も悪いし。」 「あ、ありがとうございます。」 よかった。許してもらえて。心のなかのつっかえが取れたのがわかった。 ホッとしている真唯を駿は笑ってかえした。 「…そう言えば、早瀬さん、ひとりだよね。」 「!!」 そのことは誰にも気付かれたくなかったし、言われたくなかった。 「あっごめん!そう言うつもりで言ったんじゃないんだ!」 「…。」 そうだとしても心はすでにキズついている。 駿はそれを感じとったのか、少し黙る。 そして… 「あのさ、もしよかったらでいいんだけど、俺が早瀬さんの友達になろうか?」 「え?」 信じられないという気持ちで駿の方を見た。
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