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夢の国
首都高に入ると眼下にはまだ眠っている都会の明かりが見え始めた
『マリ、もうすぐだよ』
『ん…』
マリはおもむろにシートを起こすと持ってきたペットボトルのお茶を飲んだ
『おはよう、ごめんね寝ちゃって…』
『いいよ別に』
『後どれくらい?』
『20分くらいかな』
『寒そうだね…』
『うん…』
ほどなくしてシンデレラ城が明けきらない夜空に浮かび上がった
駐車場に着くと既にゲート前には驚くほどの数の車が列を作っている
『凄いねぇ…みんなナンバー見ると遠い所から来てるのに私達より早いって』
『大阪、宮城…うわ💦青森!』
『凄いねぇ…』
そう言いながらマリはメイクを始めた
メイクをするマリの横顔を見つめる
『何?恥ずかしいからあんまり見ないでよ』
この時照れくさそうに鏡に向き直るマリの耳に目が止まった
プレゼントしたクロスのピアスではなく、いつものピアスだ
気付かないふりをして視線を車の列に戻しマリからプレゼントされたジッポでタバコに火を点けた
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