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マリ
『は~い』
チャイムを押すと小走りの足音が聞こえ、ドアの向こうからマリが問う
ドアスコープを指で隠し答える
『宅急便で~す』
『え⁉』
声を聞くと同時にドアが開きマリが抱きついてきた
『ただいま』
『お帰り~、どうしたの~』
いきなり泣きながら抱きついたまま離れない
『残業なくなったから驚かせようと思ってさ』
マリは俺の肩に顎を載せる格好で鼻をすすり上げながら泣いている
『中に入れてくれ寒くて死にそうだ』
言葉にマリは腕を解くとキンキンに冷えた俺の手を握ると部屋に引っ張って入った
コタツの上には半分ほど食べ残したコンビニ弁当とペットボトルのお茶
『またコンビニ弁当か…』
『だって1人で作って食べるの寂しいし…』
そう言いながら隣の部屋からパジャマ代わりに置いてある俺のジャージを持ってきた。
『そか…』
着替えながら背の小さなマリの頭を子供を撫でるように撫でた
『ご飯は?』
『早く逢いたくて走るのが忙しかったから食べてない。何かある?』
『ごめん…、何もない』
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