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いつも寂しかった。
孤独だった。
友達がいないわけではない。
家族とも仲が悪いわけでもない。
ただ、心の中に大きな穴が空いている。
どうやって埋められるのかがわからない。
いつも彼女は悩んでいた。
気がつけばいつも涙が零れていた。
「おはよう。今日はあったかいね」
いつものように彼女の友人が話し掛けてくる。
季節は春。
出会いの春。
まだ満開ではないが、桜が咲き始めていた。
登校してきた時もいつもより道が桃色に染まっていて、少し胸が弾んだ。
「おはよう」
いつものように返事をする。
そう、いつものように。
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