2/10
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
いつも寂しかった。 孤独だった。 友達がいないわけではない。 家族とも仲が悪いわけでもない。 ただ、心の中に大きな穴が空いている。 どうやって埋められるのかがわからない。 いつも彼女は悩んでいた。 気がつけばいつも涙が零れていた。 「おはよう。今日はあったかいね」 いつものように彼女の友人が話し掛けてくる。 季節は春。 出会いの春。 まだ満開ではないが、桜が咲き始めていた。 登校してきた時もいつもより道が桃色に染まっていて、少し胸が弾んだ。 「おはよう」 いつものように返事をする。 そう、いつものように。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!