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「かんぱぁーい!」
カンッ。
五人分のグラスが響く。
…てか、なんで店長来てるの?
「なんか楽しそうじゃん」
………野次馬か。
肉を焼きながら皆にタレを配るバイクさん。
あの人以外と手際良いんだな。
そんなバイクさんに茶々を入れる男。
お前…動物園の作業着ぐらい脱げよ!
バーベキューが始まってしばらくすると、俺の服の裾を引っ張る感覚がして、振り返る。
「あ…あのさ…。」
撫で肩の肩がもっと撫でるんじゃないかってくらい縮こまる彼がいた。
ん、俺?
「…楽しくないですか?」
…なぜ敬語。
俺が不機嫌な顔でもしてたのだろうか。
俺は、年上であるはずの彼の頭をぐしゃぐしゃと撫で、店で不機嫌な時に使う作り笑いと違う笑顔を向ける。
本当この人栗鼠みたいだな。
別に楽しいし、好きだよ。こーゆーの。
「…よかった!俺が我が儘言ったかなぁって思ったから…」
…以外と周りを気にする栗鼠だなぁ。
記憶がないようには見えない。
のんきにそんなことを考えてると、彼が俺の顔を覗きこんだ。
「嫌なことあったら、言ってね。」
一瞬、俺を見る目が、何かを探るような目をした。気がする。
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