唐突に、

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俺が貰ったCDをつけると、陽気な音楽が流れた。 「声ちょーきれー!」 飼育員が陽気に歌い、バイクくんが歌詞カードを出し、撫で肩は俺にひっついて離れない。 その歌を歌う張本人は、俺と向かい合って頭を下げた。 「この度は本当にすみませんでした。突然すぎてまだ理解出来てないと思ったので、こうして伺いに来ました。」 重苦しい雰囲気に、あのKYな幼なじみでさえもおとなしくなった。 俺に彼を送った理由を聞くと、苦笑しながら頭を上げた。 「俺、嫌われちゃって。彼に」 あからさまに驚いた撫で肩が、俺の後ろに隠れる。 …あんたの方が体格大きいだろ。 「え、嫌われって、だって、え?」 幼なじみの頭の上にハテナマークが飛びまくる。 あいつの頭が馬鹿なわけではない。俺だって訳の分からないことだらけだ。 そんな俺らを一瞥して、男は口を開いた。 「全部話します。俺と彼との関係と、配達をしてくれたあなたとの出会いを。」 撫で肩の彼と、バイクさんの顔が少し歪んだ気がした。 .
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