疑う、

2/4
前へ
/77ページ
次へ
男がいなくなり、バイクさんも仕事に行き、撫で肩さんもエプロンをつけ店に向かった。 幼なじみと二人だけの部屋は、彼等かくる前の日常と同じなはずだった。 だが、お互いの心境は、日常でもなければ、晴れやかでもなかった。 「…あのさ、」 俺に話し掛けてきたのは、昔から聞き慣れた声。 だが、今日の彼はいつもと違う。 俺もいつもの俺じゃないんだろうけど。 「なんかさ、俺ね、最近変なんだ。」 いつも変じゃねーか。なんて返事が返せない。 彼の言葉に、胸騒ぎを覚えたから。 「あの子がね、笑ってると、嬉しくなっちゃって、泣いてると、悲しくなっちゃって……あんたになついてると、悔しくなっちゃって。」 言葉の意味が分からなかった。 「一ヶ月…ちょっと?あの子と一緒にいて、笑ったり泣いたりして、ありえないって思ってる事が、現実になってる気がして」 たどたどしい言葉は、俺を納得させるのに十分だった。 「俺、あの子の事、…好きみたいでさぁ」 .
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1689人が本棚に入れています
本棚に追加