255人が本棚に入れています
本棚に追加
裏道によくある、ビルの裏口に──である。偶然そこに建っていたビルの裏口が開いていたのだ。その中に駆けていく2人のドッペルゲンガー。
「待つニャ!」
もちろん、鬼も指をくわえて見ている訳ではない。篠岡達を追おうとする。
その鬼の足元を狙って、あろうことかユーリはその左手に持っていた“拳銃”を発砲した。
ダン!ダン!と鼓膜を鋭く貫く爆音が二発響いた。
「うわ!?」
それに驚きの声を上げたのは鬼ではなく、篠岡だった。
鬼は射出された銃弾を横に跳んで回避する。
その隙に、ユーリは篠岡を引っ張りながらビルの中に入って行った。
ビルの中から、小さなその裏口にも響いて来ている足音が、だんだんと小さくなっていく。
「……ニャ」
鬼の少年は裏口を指差しながら、笑顔で一条の方を見る。相変わらず無関心そうにその様子を眺めている一条は、少年に声をかけた。
「…逃げたぞ」
それにえへん!と胸を張りながら鬼は答えた。
‐
最初のコメントを投稿しよう!