4  非日常

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裏道によくある、ビルの裏口に──である。偶然そこに建っていたビルの裏口が開いていたのだ。その中に駆けていく2人のドッペルゲンガー。 「待つニャ!」 もちろん、鬼も指をくわえて見ている訳ではない。篠岡達を追おうとする。 その鬼の足元を狙って、あろうことかユーリはその左手に持っていた“拳銃”を発砲した。 ダン!ダン!と鼓膜を鋭く貫く爆音が二発響いた。 「うわ!?」 それに驚きの声を上げたのは鬼ではなく、篠岡だった。 鬼は射出された銃弾を横に跳んで回避する。 その隙に、ユーリは篠岡を引っ張りながらビルの中に入って行った。 ビルの中から、小さなその裏口にも響いて来ている足音が、だんだんと小さくなっていく。 「……ニャ」 鬼の少年は裏口を指差しながら、笑顔で一条の方を見る。相変わらず無関心そうにその様子を眺めている一条は、少年に声をかけた。 「…逃げたぞ」 それにえへん!と胸を張りながら鬼は答えた。               ‐
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