4  非日常

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目の前の光景は、工事現場にでもあるような金属製の足場と手すり。それ以外は、周りのビルの屋上だったり、遠くに見える何か大きな建造物だったり、青と白が交じり合う空だったりするだけだ。 何のためらいもなく、ユーリはそのビルに添うように伸びている足場を進んでいく。 「ちょ…ちょっとユーリ!?どこ行くの!?」 篠岡があわててそう聞くと、振り向いて、頬笑みながら言った。 「屋上だよ?」 それだけ言うと、またすたすたと足場を進んでいってしまう。 「ちょ…ちょっと…ユーリぃ…」 恐々篠岡もユーリの後についていく。何やら風が吹くたびギシギシと悲鳴をあげる足場は、そこいらの遊園地にある絶叫マシンよりもよっぽど恐かった。 足場をジリジリと進んでいく途中、自分は“不自然さが全く無く足場が壊れて真っ逆さまに落ちていく…なんて想像が今まさに起きてもおかしくない状態の人間”である事を思い出し、その瞬間からギシギシと軋む音が異様に大きく聞こえていた気がしたが、何とか落ちる事無く屋上に来ることが出来た。 そうしてなんとか屋上に到着すると、篠岡は衝撃的な光景を見てしまった。
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