5  予告

2/8
255人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
「せんせー。さようならー」 ぱたぱたと廊下を走っている女生徒が、すれ違う時に挨拶をする。挨拶をされた先生も、返事を返した。 「もう遅いから、気を付けて帰るのよ」 「はーい」 ぱたぱたという足音が小さくなっていく。園瀬女学院は本日職員会議だったため、院内に生徒はほとんど残っていない。 ──静かな廊下に、コツ、コツとヒールの音が良く響く。 と、その先生はある部屋の前で止まり、その立派な扉を開けて中に入った。 その部屋は学院長室。 その部屋に入った、学院長である東雲英子[シノノメエイコ]は、中央にある机の椅子に座った。机の上には色々な資料やら書類やら顔写真やらが乗っていて、一番上には“白い髪をした篠岡優理の顔写真”があった。 外からの音と、ついていたテレビから流れているローカルなニュースの音しかしない部屋の静寂を、出入口の側に立っていた男の声が引き裂いた。               ‐
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!