5  予告

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「やれやれ…。いつからこの国は銃社会になったんだ」 嫌味を言う一条の言葉に、小さく笑う東雲。 テレビから目を一度も放す事無く、東雲は落ち着いた態度を崩さない。 「……………あら」 と、東雲が声を出した。目線の先は相変わらずテレビ。それに映っているニュースキャスターがなにやら慌てている。そして、そこで渡された原稿を読み始めた。 『只今入ってきたニュースです。本日午後4:40ごろ、16歳ぐらいの少女が、今は使用されていないビルから転落し、全身を強く打って死亡しました。 被害者は服装から市内の私立高校に通う生徒と判明しましたが、特に頭部の損傷がひどく、個人の特定は未だ出来ていません。警察は少女の身元の確認を急ぐとともに、自殺の動機について調べる方針です。 もう一つ臨時ニュースです。その廃墟化したビルの近くで、事故が発生しました。 被害者は篠岡優理さん16歳で、猛スピードで走っていたトラックと接触したということです。トラックはその場から走り去り、行方は分かっていません。救急車が呼ばれましたが、篠岡優理さんはその場で死亡が確認されました。 警察は轢き逃げ事件として、トラックの行方を追っています…』 画面には、‘黒い髪の篠岡優理’の顔写真が映っていた。               ‐
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