0  魔女

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二階分の階段を上がり、連れて行かれたのは小さなお風呂だった。何をするのだろう。 「そこで待ってろ」 一人の男が言い、お風呂場から出ていく。そして、すぐに帰ってきた男の手には、ハサミが握られていた。 男は面倒くさそうにハサミを構えると、私の髪を無造作に切り始めた。 ジャキジャキと。 適当に。 しばらくして雑なショートカットになった私は、何もせず、何も感じないようにしていた。 そこに、男の声。 「…今から風呂に入れ。簡単にでいい」 その唐突な言葉の意味はよく解らないが、嬉しくなった。お風呂に入れるのだ。一体、いつぶりだろう。 そんな些細なこと、覚えていない。 まだあんまり慣れていない光に目はじんじんする。それでも、次にお風呂に入れるのがいつになるか分からない。細かいところまで一生懸命に体を洗った。               ‐
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