ch-1

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  1.   魔神国(マシンコク)。 人の目に触れない場所にある、エルフだけが住む国。 魔神国のいわれは、聖神国(セイシンコク)とは真逆に位置する国であることと、魔物が多く住み着く森があることからそう言われている。 でもそれは、外から言われているだけで、魔物が多く住む森など存在はしない。 確かに国を覆う森は鬱蒼としていて、昼間でも薄暗く気味が悪いが魔物など滅多に出てはこないし、人を襲う事もない。 それに、ボクはこの森が好きだ。 人に悪く言われるのには少し腹が立つし、もっと知ってほしいとも思う。 外の国から魔物と呼ばれるモノも、ボクたち国の者からしてみれば精霊と一緒だ。   「……」 ―またきていたの?―   国の門から少し行くと小さな泉がある。ボクは毎日と言っていいほどその場所に行って、木と木の間から見える小さな空を眺めていた。 そして精霊たちと話をする。   「あ、ピティ。こんにちは」 ―こんにちは、ガイル。毎日ヒマね―   ピティとは、この泉に住む精霊。黒い羽を持つ精霊で、他国からは悪魔と呼ばれているらしい。
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