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2.
ガイルの15の祝いも終わり、自室で次にくる客をルソックは待っていた。
ルソック、国民からの愛称はじじ様だ。
いつの頃か、ガイルがそう呼び出してから皆が同じようにそう呼び始めた。
ガイルは本当の爺だと思い込んでいるが、本当は全くの他人である。
15年前、国の人間が布に包まれた赤ん坊を連れてきた。
“精霊たちが騒ぐから、何事かと思って泉に行ったらこの子が…”
50年ぶりにみる赤子だった。
連れてきた男はどうすればいいか解らないような顔でルソックを見ていた。
ルソックは小さく息を吐いた後、その赤子を引き取ると言った。
連れてきた男は安心したような顔をしてルソックの家を後にする。
さて、どうしたものか…。
赤子を引き取ったものの、子供を育てる知識などルソックには持ち合わせていない。
仕方なく、ルソックは近所の女たちにこの赤子をみてくれないかと頼みにいった。
女たちは嫌々ながらもルソックの言う事だから…と了承してくれた。
元々この国の人間たちは、自分の子供以外に愛情を注ごうとはしなかった。
ルソックもあの子が自立して生きていけるようになったら手を離そうと思っていた。
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