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その考えが変わったのは、ガイルが3歳になった頃。
預けた女から急に呼び出されてその女の家に行った。
何事かと部屋に入ると、窓枠に腰掛けている黒い4枚羽を持つ男が、預けた子供を抱いてこちらを見ていた。
“……黒衣翔攻(コクイショウコウ)……?”
この国で戦神と崇められている神がそこにいたのだ。
それも、拾ってきた子供を抱いて。
何も言えず、立ち尽くすだけのルソックたちに、神と崇められるものはこういった。
“愛を持って育てろ。そうすれば救世神になる”
それともう1つ
“悲しみを増やすな。そうすれば破壊神になる”
とも。
それだけ言い残すと、神は消え、白い水晶を置いていった。
そこに居た誰にも聞こえなかったそうだが、ルソックにはその水晶の意味が伝えられた。
悲しみが増えるたび、その水晶は黒く色を変え、全て黒くなればこの世界は破滅すると。
それは脅しには聞こえず、ルソックはこの子供に全ての愛を注ごうと決意した。
そして名を、この国の言葉で愛をしめすガイルと名付けたのだ。
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