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「私が泣くと、魔力がぼーそーしてここら一辺がメチャクチャになっちゃうんだ」
ユアは何事も無い事の様にサラリと言葉を口にする。
その言葉を聞いた男は、哀しい表情を一瞬つくる。その一瞬を見逃さなかったユアは少しの間、目を見開く。
ふと、何か自分はいけない事を言ったのかと思ったのか、考える素振りを見せる。
そんなユアを余所に、男は頭を下げる。
「すまなかったな」
「どうして、おにーさんが謝るの?」
不思議そうな顔をしてユアは尋ねる。その様子を見ていたコトは、泣き止むことはなかったが、耳だけはユアと男の会話に傾けていた。
「あの人たちは、俺の部下なんだ。俺が、立場上一番偉い人でね……」
男は申し訳なさそうな顔をして言う。
“自分が一番偉い立場”その言葉にユアは反応を見せる。
「おにーさんが、一番偉い人なの?」
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