8人が本棚に入れています
本棚に追加
海辺の駅
どんよりとした灰色の雲が空を覆いつくしていた。
目の前には、砂浜が広がっている。鉛色の海が波打って今にも襲いかかってきそうな恐れを抱かせた。
翼は、ひとりでその砂浜に立っていた。何故、自分がここに居るのか、ここが何処なのかも、わからないでいた。ただ、懐かしいような感じがした。
辺りを見回すと、駅があった。いや、今、自分は、駅のホームに立っている事に気付いた。ホームと砂浜との境目は、砂に埋もれてわからない。
翼は、人を探した。誰でもいい、不安感が翼に襲いかかってきた。その時、電車が近付く音が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!