海辺の駅

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海辺の駅

 どんよりとした灰色の雲が空を覆いつくしていた。  目の前には、砂浜が広がっている。鉛色の海が波打って今にも襲いかかってきそうな恐れを抱かせた。  翼は、ひとりでその砂浜に立っていた。何故、自分がここに居るのか、ここが何処なのかも、わからないでいた。ただ、懐かしいような感じがした。  辺りを見回すと、駅があった。いや、今、自分は、駅のホームに立っている事に気付いた。ホームと砂浜との境目は、砂に埋もれてわからない。  翼は、人を探した。誰でもいい、不安感が翼に襲いかかってきた。その時、電車が近付く音が聞こえた。
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