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「やれやれ~、また、めんどうな奴が迷い込んで来やがったなぁ」
毛むくじゃらの駅員は、毛むくじゃらの顔をしかめて、本当に困った顔をしていた。その顔は、まさに猫だった。吊り上がった目を細めている。
翼は、混乱しながらも、周りを注意深く観察していた。電車から降りてきた毛むくじゃらの生き物たちが、慌てる様子も無く少し離れた所から翼を見ていた。
「また人間よぉ、ちょっと最近多くない?」
犬のような顔をした中年女っぽい毛むくじゃらが、呆れ顔で翼を見ている。他の毛むくじゃらもよく見れば、犬や猫のような顔だちをしていた。その中の一人が駅員に話かけた。
「なぁ、駅員さんよぉ。この人間…どうするよ。」
駅員は、話かけてきたパグに似た老人、いや老犬?に無言で首を振って答えた。
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