プロローグ

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     *    * お昼ごはんを食べ終わった時点で、時刻はすでに15時を回っていたので、後片づけは優菜に頼んで、僕は早々に支度をして、家を飛び出した。  ちなみに、お昼ごはんは冷めててもおいしかった。 味噌汁以外は、冷えた味噌汁は正直微妙、食べられなくはなかったけど。  家を出て徒歩で十五分。 出発に時間がかかってしまったので、やや急ぎ足に目的地へと向かう。  しばらく歩けば、繁華街から少し外れるようにしてこじんまりと看板を上げる喫茶店(アネモネ)に到着。 僕はここでバイトをしている。 ここを選んだ理由はいろいろあるが、やはり、家から近い、というのが大きな理由になる。 多少遅れそうになったところで、何とかなってしまうからだ。  裏口から店に入り、ロッカールーム兼社員室に入る。 入り口近くに設置されているタイムカードを打つ。 カードに刻まれた時刻は15:33となっている。 出勤は16時からだったので、数字だけを見れば余裕ある到着に見えるだろうが、実際にはそうはいかないのである。   「おはよう鈴城。 今日は重役出勤だな」 「おはようございます、茜さん」  椅子に座って、指に挟んだタバコを上下に弄びながら紫煙を吐き出しつつ、鮎川茜さんは僕に向かってそう言った。 何畳だとか何坪だとかと数えたことはないが、このロッカールームは社員室を兼ねている以上、それなりのスペースが出来ている。部屋の両端にはロッカーが連なっており、その間に大分広めのスペースが出来ている。     
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