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私はここに来るべきではなかったのだ。
海辺のカフェで脳までとろけてしまいそうなカクテルを飲む。
「俺が悪かった。もう一度、真っ直ぐ向き会いたい。」
彼はそう言った。
でも、私には、もうわかっていた。
彼と体を重ねて、彼の腰のコリコリした所も、厚ぼったいけど不健康な色をしていた唇にも、別れがあるという事を。
金色に輝くカクテルとアップルマンゴーは私の海辺の親友。
彼が浮気なんて信じられなかった。
食べたいものを食べたいだけ―もうこれ以上は食べられないようなくらいたくさん―食べた。
そしてその後、私たちは体を重ねる。
満腹の猫のように。
夕日が沈みかけた頃、彼の車に私は家まで運ばれる。ステレオから流れるピアノの音で。
それが、私の幸福で生活だった。
でも、全てのものは、いつか儚くも失われると言う事は確かな事であると十分に理解していた。
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