プロローグ

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ふと後ろから声をかけられる。 茶髪の男の子が三人いる。   「ねー、おねーさん!」   何の魅力もない私に近付くな!   あ、胸は豊満だ、と想い人に言われた事があるが……、あの時は複雑な気持ちになったなあ。   体目当てのヤツは相手にする気はない。 茶髪の少年達は私より若干若く、生き生きとしている。   私は低い声でつぶやいた。 「鬱陶しい。ナンパなら他を当たれ」   「冷たいなあ」 一番背が高い子‐高橋と言う名前らしい(勝手に自己紹介してた)‐が言う。   別れた辛さ、そうでなくとも、人の気持ちを知らないコイツらを殴ってやりたい。   それにしても、なかなかのイケメン三人だと改めて思う。   それでいて、あの人の方がよっぽどいい。 あの人‐もちろん前に付き合っていた人‐の名前は中野聡(なかのさとし)と言った。   正孝は、中野をろくでもない男‐あるいは、言葉だけは達者な女たらし‐と言った。   確かに、仕事とか金とか女にルーズだった。本当にどうしようもない男だったけど、私には賭けがえのないヤツだった。    
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