プロローグ

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「ねぇ。ちょっと聞いてる?」   高橋‐さっき話かけてきたやつ‐が怒り気味で訊いてくる。   「あ、ごめんなさい。ちょっと考えごとしてて……」   私がそう言うと、高橋(下の名前は直人といった)はにやりと笑いながら言った。     「別れた彼氏の事?」   な、なんで分かるんだ!?   コイツ!   「だってここのビーチに一人で来るのは別れた人くらいだよ。」   私の心を読んだように答える。   「俺もそのひとりだから。」   ふーん。このイケメン君も振られたんだ……。結構、意外かも。   「でさあ、帰りの電車代ないから、連れて帰って。」  私が怪訝そうな顔をして、   「それって、車に載せろってこと?」   と聞けば、彼は、当たり前だと言った。   当然、私は断ったが、彼らは、三人がかりで、『物凄いこと』をしようとしたので、連れて帰らざるを得なかった。    
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