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僕たちは天井と扉のない部屋に詰め込まれていた。
皆、身動きもせず黙り込んでいる。
そして、奴がやってきた。
今日は誰だ?
僕じゃありませんように…
祈りが通じたのか、選ばれたのは僕の隣の彼だった。
彼は抗(あらが)うことなく奴に捕まった。
そしていつもの様に僕らの目の前で処刑が開始される。
始めに大きく鋭利な刃物によって全身の皮が剥かれた。
彼は苦痛なそぶりも見せずに耐えた。
彼の肉体から剥かれた赤く染まった皮と白い肌は、僕らに見事なコントラストを見せてくれた。
全身の皮を剥き終えると、次に体を切断する。
大きく鋭利な刃物は、彼が悲鳴を上げる間を与えることなく体の中を何度も通過した。
僕らは目を背けずに彼の体が六つの塊に分けられるのを見ていた。
そして、すでに絶命したであろう彼の六つの塊それぞれに木の槍(やり)が突き立てられる。
彼の処刑は終了した。
やがて彼の体は、奴の手により僕らの目の届かない所へ運ばれていった。
明日は僕が選ばれるかもしれない…
しかし、僕らはこの部屋でただ待つことしかできない。
順番が早いか遅いか、それだけのことだ。
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