始まりは中1

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 藤宮はちゃぶ台の上に広げた原稿用紙に荒い字を書き綴る(読書感想文)。  裕凪はシャーペンで綺麗に四角の中に漢字を書き続ける(漢字プリント)。  瀧片は筆算を駆使して複雑な方程式の解を求め続ける(数学のプリント)。 3人は、最後に残った苦手な夏休みの課題という名の高すぎる壁を必死に崩していき、 「「「出来たあぁぁぁーー!!」」」  同時に上げた叫び声が、ベッドやタンスぐらいしかない質素な和室を揺さぶった。 その時、外から「うわぁっ」と情けない声とともに、インターホンが鳴らされた。 「っと、来たか?」 「お、マジで?」  立ち上がり、ドアを開く。それに瀧片達もついてきた。 「はいはーい」 「あ、宅急便で~す」  玄関先に居た黒ネコマーク服のお兄さんから貰った紙にサインを書き込み、返す。 「っと、これでいいですか?」 「はい、ではこれが荷物となります」  お兄さんが持ってきたのは、人の頭より少々大きいダンボール箱。 それには、 『株式会社 ドリーム 分類 ゲーム機 正式名 ラストファンダム』 と書いてある紙が付いてる。 「はい、ありがとうございます」 「いえいえ、仕事ですから」  お兄さんに礼を言い、ダンボール箱を受け取って家の中へと入る。
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