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カタカタカタカタと静かに響くキーボードを叩く音。
視線の先には恐ろしく残酷な妄想の山。
色にして表すとすれば黒と赤。
その妄想の中で、人は必ずと言っていいほど無惨な死に方をする。
抗えない力を前に人は皆、無力なのだ。
「あなたも死ぬんだよ。このサイトによって殺された理佳のようにね?…と」
私は手をキーボードから引いた。
満足のいくとこまで打てたのだ。
一日で此処まで書き進めたのだから、まぁ上出来と言っても良いだろう。
「はぁ」
溜息を吐き吐き、両手を伸ばしていると…リビングのドアが急に開いた。
中に入って来たのは、新人編集の本村くん。
気味悪そうな顔をしながら入ってくる所はいつもと同じなので気にしない。
「電気、点けないんですか?」
ああ、始まった。
「目、悪くなりますよ」
私は子ども?
一応、あなたより年上なんだけどな。
「点けますよー、電気」
スイッチ音と共に明かりを灯す電球。
本村くんの売れない二枚目俳優みたいな適度に整った面も明確になる。
…ああ、しまった。
私のノーメイク面まで明確になるってことじゃない。
勘弁してよね、本村くん。
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