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天気予報は外れなかったらしい。
きっとそうなるだろうという常識的な予想と、そうはならないで欲しいという我が儘な願望が私の胸を交互に支配した。
――ああ。私は今、とても馬鹿げたことをしているのかもしれない。
ガラ、と勢い良く窓を開けた。朝の空気はまるで生まれたばかりのようだと思う。私を現実に引き戻す冷たさが、頬を打つ。こわごわと水槽を覗き込むと、私の……そう、紛れもなく「私の」魚たちがぷかりと浮いていた。
鮮やかな尾鰭が力無く垂れている。やはり死んだのだ。いやそうじゃない、……私が殺した。
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