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彼等をせめて弔おうと思った。
無機質な水の中に無惨な姿を晒しておくのはあまりに辛い。私の自己満足だけれど、彼等を、せめて帰そうと思った。
近所の川辺は身を凍らせる寒さだった。水に指をくぐらせるとその流れに指を持っていかれそうだ。
私は彼等の遺体をそっと水に流した。こんなやり方は間違っているかもしれなかった。けれど、流れ流されていつか彼等の住む水域に届けば良い。そのときに既に形になっていなくても、見知らぬ魚の体内にあっても。
やはり私は間違っているかもしれない。泣きながら私は謝った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
私の愚かさを、どうか。
冷たいけれど有機的な、その水の流れに、私を流してしまえたらいいのに。
本物の自由は見つからない。そもそも本物の自由があるのかすら分からないから。本物じゃない自由があるのかも、分からないから。
その日私は、幼かった私と訣別した。
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