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彼らとの生活が始まってから数週間が経ち、水槽の水温チェックを増やすようになった。
よく晴れた休日、水槽の掃除をして一息ついている時に電話が鳴った。滅多に鳴らない電子音に、私は少し戸惑いながら受話器を耳にあてた。
「もしもし、あのお…」
聞き覚えのない甘ったるい声は、中学時代のクラスメイトだと言った。
親切に名前も教えてくれたのだが、佐藤だったか加藤だったかよく分からない。
彼女が言うにはどうやら近々同窓会があるらしい。
仕事で行けない旨を伝えると、彼女はどこまで本気なのか判断に困る大仰な声色で何度も「残念だわ」と繰り返した。
「久しぶりに会うのを楽しみにしてたの…。こんなに狭い町に住んでるはずなのにもう何年も顔を見てないでしょ?」
話しぶりから推測するに、向こうは私を知っているようだ。
電話を切るタイミングが見つからず受話器のこちら側で困っている私に気付く筈もなく、彼女は自分の近況をつらつらと並べ立てた。
私は曖昧な相槌をうちながら魚の尾がひらりと踊るのを見ていた。
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