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「そっちはどう? 何か変わったことあった?」
急に話を振られて私は言葉に詰まる。
「あ…と、魚を」
「魚?」
「そう、魚を買ったの、熱帯魚で、赤い魚」
「ふうん…」
彼女はさして興味もなさそうに呟いた。私は息苦しくなる。何故魚のことを話したのだろう。
「そういうのって大変でしょ?」
「…たいへん?」
彼女の言葉の意味が分からなくて、私は返答に窮した。
「水温とか水質とか、管理するの大変だって…」
管理。その二文字が、ずしりと胸に落ちてきた。
私があの子たちを管理している? まさか。
「そんなことない、誰が言ったのよ、それ」
思わず語気が強くなって、電話越しに彼女が怯んだのが分かった。その気配で私は我に返る。
何をやっているのだろう。彼女が一体何を言ったというのだろう。謝ろうにも、喉がくっついて塞がってしまったようだ。
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