予想外の(BL)

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
同じ写真部で、今まで何かと可愛がってくれていた先輩が、たった今鉢合わせた瞬間、走って逃げた。 「ちょ…っと!待ってくださいよ!」 逃げ出されるような心当たりなんてもちろんない、と言いたいところだが残念ながらひとつだけ心当たりがある。 (まさか先輩に片思いしてるの、バレた…とか) それで気持ち悪がって逃げてるなら話はわかる。自分にとっての最悪の展開ではあるけれど。 「先輩!」 「だぁぁ、もう!いいから俺のことは放っとけ」 「良くないですよ!だいたい放っとけって言ったって部活行ったら絶対会うんですか、ら…っ!」 背中に掛けていた先輩のリュックを思いっ切り掴んだ。こんなに一生懸命走ったのは進級が賭かっていた去年の体育の授業以来かもしれない。だが元陸上部の先輩に追い付けたのだからまだまだ自分もいけそうだ、なんてわけのわからないことが頭をよぎった。 「なんで…追っかけてくんの…」 「なんでって…そっちが逃げるから、」 「無視するなり何なりできんだろ!」 「できませんよ!」 「なんで!つーかなんでそんな構うわけ!期待させることばっかしてんなよ…!」 なんで…って、そんなの好きだからに決まってる。だいたい、いつも構ってきて思わせ振りな態度をとってるのは先輩の方じゃないか。どうにか抗議しようと口を開いたが、その途端ある別の考えが頭に浮かんだ。 (いやいやいや、あり得ないって…) でも、もしかしたら言ってみる価値はあるかもしれない。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!