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少女は首を絞められていた。少年のにわか知識では首を絞められた死体の表情は苦痛にゆがむと聞いていたのに、少女の表情は何故か穏やかに見えた。もしかすると、苦痛しかないこの世から逃れる事ができたと喜んだのかもしれない。それでも、少年は少女の死が悲しかった。その少女は高校の演劇部に所属していた。そして、少年の記憶では次の舞台で、主役を演じる事になったと少女の友人に話していた事を思い出していた。そうだ、少年は、他の多くの生徒と同じように少女に恋をしていたのだ。少年は少女の首に残る痛々しい紐の痕、索条痕に触れた。
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