秘密機関

16/17
331人が本棚に入れています
本棚に追加
/333ページ
「増田は確か、この高校の卒業生で、卒業して十九年になるはずだから、今年で三十七歳位じゃないかな」  千香の言葉に私が補足する。千香が何でそんなことを覚えているんだ? とでも言わんばかりに私を見返したが、何のことはない。校門あたりに植えられた銀杏の木が学校創立のどこかの節目に当たり、それがちょうど十九年前の卒業生による寄贈の木である事と、増田がその銀杏の木を寄贈した年度の卒業生であるという話を授業中にしていたことを覚えていただけのことだった。
/333ページ

最初のコメントを投稿しよう!