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「あれ? こんな時間にまだ残っている子がいるんだ」
春子がそう思ったのは、その人影の一人が女子の制服姿に見えたからだった。その一方でもう一人は男子の制服のブレザーでも、女子の制服姿でもなかった。
人並みの好奇心に支配された春子は外から見つからないように窓に近づいた。黄昏に染まる長老の樹は威厳にあふれ、長老と呼ぶにふさわしい、そんな感慨にふけりながら、春子は二人が誰なのか見極めようとした。
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