オトコのおとし方

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先程の執務室では、卯ノ花が窓から外を眺めていた。 灰猫と飛梅が部屋の中へ入ると卯ノ花はすぐに気付き、振り向いて笑顔を見せた。 卯ノ花「あら、お待ちしていましたよ」 灰猫「あっ…どーも」 飛梅「お忙しい中すみません…」 卯ノ花「いいえ。…あまり長い時間はとれませんが、私でよければあなた方のご相談をお聞きしますよ」 灰猫「さっすが卯ノ花隊長!えーっと………」 卯ノ花の受け答えが丁寧なせいか、蛇尾丸達の時のように軽く『オトコをおとす方法』などと切り出せない。 しかし灰猫はかしこまった対応が苦手な為、言葉に詰まってしまった。 灰猫は飛梅に目配せして、自分の代わりに話を進めるよう促した。 飛梅「あ…あの………殿方と…その…親しい関係になるには……どのような方法が最適かと思いまして…」 卯ノ花「親しい関係?」 灰猫「つ…つまり!オトコと仲良くなりたいときっていうか…」 卯ノ花「それでしたらやはり…素直に友人関係を築きたいと相手に言うべきではないでしょうか」 灰猫・飛梅「え……」 灰猫も飛梅もあまりに言い方が柔らかかった為、卯ノ花には『好きな男を自分の虜にするにはどうしたらいいか』ではなく『男友達を作るにはどうしたらいいか』と伝わってしまったらしい。 卯ノ花「普通の方でしたら友人が増えることを拒むことはないでしょうし、あまり難しく考えずともきっと上手くいきますよ」 灰猫「い……いや………」 灰猫は訊き直そうとしたが、卯ノ花の湛える笑顔を見たら、何故かそれが出来なくなってしまった。 飛梅も同じ様子で、もう何も訊き返せそうにない。 灰猫・飛梅「……ありがとうございます…」 結局有効な手立ては得られなかった2人。 瀞霊廷をとぼとぼと歩きながら溜め息をつく。 灰猫「なーんか…ロクな方法集まんなかったわね…」 飛梅「そうですね……隊長格の皆さんってあんまりそういうことには興味がないのでしょうか…」 灰猫「あるとしても…自分から攻めていくタイプじゃないとか?今考えてみると、乱菊以外ってみんなそういう雰囲気だし……」 飛梅「……確かに…。結局のところ恋って……」 灰猫「思い通りにいかないもの…ってことね…」 恋の壁にぶつかる2人を、夕日の淡い光が慰めるように優しく照らしていた…。
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