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乱菊「いいからいいから!あたし先に帰って仕事してますね。雛森、隊長のことよろしく!」
雛森「はい!」
日番谷「ガキか俺は…まぁいい。これを気に毎日仕事するようになるならこれほど助かることはないからな」
乱菊「あ、毎日はムリです。今回だけ」
日番谷「なっ…松本ォ!!」
日番谷の怒りを真に受けず、乱菊は悪戯な笑顔を浮かべ家を出て行った。
日番谷「ったくアイツは…」
祖母「まぁまぁ、あの人も冬獅郎を気遣ってくださってるんだよ」
雛森「そうよ、甘納豆までくれたんだから。今日くらいいいんじゃない?」
日番谷は煮え切らない表情をしながらも、嬉しさが込み上げてくるような気持ちになっていた。
雛森は立ち上がり祖母と日番谷を見て言った。
雛森「お茶淹れるから甘納豆食べよう!おばあちゃん、食べられそう?」
祖母「ああ、もうほとんど熱も下がったからね、いただくよ」
それを聞いた雛森は嬉しそうに土間に向かっていった。
雛森がお茶の準備をしている間、日番谷は少し俯いて祖母に話しかけた。
日番谷「…ばあちゃん」
祖母「?」
日番谷「今は忙しいけど…仕事が一段落したらまた非番の日にこっちへ来るよ」
普段隊士の前では見せない、少し照れたような表情を浮かべる日番谷。
今となっては、幼い頃から面倒を見てくれた祖母にしか見せられない顔なのかもしれない。
そんな日番谷に祖母は昔と変わらない穏やかな表情で言った。
祖母「冬獅郎…本当に立派になったねぇ。忙しいのは冬獅郎が成長した証拠だよ。これからも無理し過ぎないで、背伸びし過ぎないで…周りの人達と今の自分を大事にするんだよ?」
祖母の手が日番谷の頭に置かれる。
日番谷「……!」
日番谷は流魂街での懐かしい感覚を思い出し、恥ずかしさと嬉しさが混ざった顔をした。
日番谷「…分かってるよ、ばあちゃん…」
日番谷はほんのひと時、護廷十三隊十番隊隊長からかつての自分に戻った気がして、何とも言えない心地よさを感じた。
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