-プロローグ-

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「落ち着いたか?」 「「…うん」」 ようやく話しが出来る、やはり相当ショックだったんだろう。 顔は今だに俯いたままだ… 「二人とも、顔あげて俺の話を聞いてくれ」 二人は黙って頷くと、ゆっくりと顔をあげた。 やはり今は話さないほうがいいのだろうか、まだ二人の震えは止まっていない。 しかし今、話さなければいつ話すんだ… ……多分、今話さないとダメな気がする。 だから俺は、意を決して二人に話し出した、出来るだけゆっくりと、そして優しく。 「俺だってな、この家を出て一人暮らしなんて本当はしたくない。 でもな、それは俺の我が儘でしかない… だから俺は、この家を出る」 そういって二人を見ると、案の定、二人の目には再び涙が貯まっていた。 しかし、ここで話しを止める訳にはいかない、だから俺は、こう話しつづけた。 「俺はこの家を出て一人暮らしを始める。 そのかわり俺と2つの約束をしよう、もちろん3人だけの秘密で」 そういうと少し、ほんの少しだけ二人に笑顔が戻った。 「「約束?」」 「そう、約束… 1つめ、俺が向こうに引っ越すまでの間、ずっと二人と一緒にいてやる。 2つめ、俺達が離れていても寂しくならないように、毎晩電話してやる。 俺が向こうに行くと離れ離れにはなっちまうが、電話だと声くらいは聞こえるだろ。 これでどうだ?」 俺の提案を聞いた二人は少し考えた後… 「「……うんっ、約束!!」」 と満面の笑みで答えてくれた。 「そうか… そうと決まれば、さっさと晩御飯食べて遊ぶか!」 「「うん♪行こ行こ!」」 こうして俺は無事2人の笑顔を取り戻し、仲良く3人で書斎を後にした。
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