星の降る夜

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内心とてもハラハラしていたが、詩音は少し首を傾げただけで特に追及はしなかった。 「…聞きたい?」 だがその代わりに、何故か真面目な顔で、そう聞き返してきた。 思ってもみなかった詩音の反応に俺は少し気圧されてしまい、中途半端に相づちを打とうとして… ふと思い出した。 前にも似たような事があった気がする。 …そうだ、あれは一昨年の夏だったか。 学校の帰り道、俺は他愛もない世間話程度に「そういえば、お前恋人とか作らないのはなんでだ?」とか、そんな感じの質問を詩音にしたはずだ。 幼なじみというのを抜きにしても詩音は可愛い部類に入ると思う。時々変な事を言い出すが、性格も優しい。 いくらでも、とまでは言わないが、探せば相手くらいすぐに見つかるだろう。 そう思って聞いただけ。 だから「別に今はいい」とか、そういった答えが返ってくるものだと思っていた。
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