第一幕:王子様はツンデレですか?

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「……俺が興味あるのは湊だけ」 即答ね………。 それにしても、雪村って……多い名前なのかな? "姫君"と同じ苗字なんて……。 向こうは、女だから同一人物じゃないのは分かるけどね。 「………ところで秀一」 「………?」 「発見したのが湊ちゃんで良かったな、お前あんな場所で寝てたら確実に襲われるぞ…女子限定で」 「………」 秀一は無言で少し歩くペースを早めた。 そんなあからさまに嫌な顔しなくてもな。 俺は早足の秀一の後を追った。 ―湊side― くーくーくー……。 ぐぅーぐぅーぐぅー……。 ぐがぁーぐがぁーぐがぁー……。 「……わざとらしいいびきしてんじゃねーよ!」 「いたっ…」 佐久間に頭を叩かれてやっとの事で俺は起きた。 見るともう、空は薄暗い。 「…ったく、可愛く寝てなかったら引きずってでも起こしたぞ」 「……え?」 「……っ何でもない!!」 いきなり佐久間が怒り出した。 何故?俺、何かしましたか? 見失わないように佐久間に着いていく…。 佐久間の銃が懐中電灯代わりになって辺りを照らした。 「……すっげー佐久間の銃、光るんだぁー」 「お前、絶対に俺を誉めないんだな」 「……へ?」 「……別に」 何だろう、さっきから耳なりが激しくて肝心な部分が聞き取れない。 へ?都合が良すぎる?気のせいじゃない? 「……俺の属性は火だから、辺りを照らす電灯代わりになる」 「……そういえば、俺を助けた時…呪文を言ってたな」 「あれは本来の力を発揮する為に唱える、自分の名前と紋章以外は守護者の呪文は一致してる」 「……名前は分かるけど、紋章?」 「…九蓮の真紅、佐久間家の事を表す言葉」 「……なんか、格好いい」 キラキラした目で銃を見てると佐久間はフッと笑った。 しかーし、俺は銃ばっか見てたから佐久間の笑みは見ていない。 「……お前もあるだろ?神々の姫君ってさ」 「嫌だよ、男なのに姫君ってさ…」 「仕方ないだろ、今までの姫君は皆女だったんだからさ」 「佐久間家の紋章を俺にくれー!!」 「……なら湊、俺の所に来るか?」 「………え」 只今森の中間と思わせる場所(まぁ、実際何処だよって話なんだけどね) 2人の間に冷たい風が吹いた。 只今耳なり切れで佐久間のさっきの言葉は聞き取れた。 聞き取れたけど……。
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