最終幕:王子様はお姫様ですよ?

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あまりにもあっさりな俺に凪さんは自分で言い出したくせにビックリしていた。 そして俺の次の言葉で更にビックリする事になる。 「……でも、俺は凪さんの償いの為に契約するワケじゃないからな!凪さんを苦しみから解放する為だから…」 「……湊く…」 「凪さんを晃から解放する、自由に生きてよ…もう晃は居ないんだから、凪さんが苦しむ必要はない」 今までで一番凛々しい俺を見て、涙した。 (湊くんは短期間でこんなに変わったのに…晃は記憶のまま生きている) 凪さんは決意して、涙を拭った。 そして俺を抱きしめた。 「……僕はこれから湊くんを守るよ、湊くんだけを想って生きてく」 「……………凪さん、それって晃を忘れてる?」 「湊くんは湊くん、晃は晃だろ?……やっぱり二人は違うよ」 凪さんの言葉に俺までニコニコする。 これで解決………とはいかないよな。 祐達が居る場所に凪さんと向かったら、祐と秀一しか居なかった。 「あれ、他の皆は?」 「なんか松尾の使用人が何人か出てきて車で連れて帰った」 「……邪魔だから」 「松尾も残るとか言ってたから峰と一緒に帰らした」 「………邪魔だから」 「…秀一(本当に邪魔なんだな)」 そして、残りのメンバーでロストキングダムに向かう事にした。 ―?side― 「やっと来た、もう待ちくたびれちゃった」 床に転がる死体を足蹴りしながら腕を組み、ゴスロリの少女は視線を窓に移した。 窓越しには、この城と言う名の王国に入ろうとする四人の人間が居た。 瞳は怒りに満ちていて、口元は嘲笑うように歪んで見えた。 そんな彼女が居る部屋に誰かが入ってきた。 その人物を見て、怒りに満ちた瞳は和らぎ…嬉しさに満ちた笑みを見せた。 その人物は窓に向かって歩き、彼女の横で足を止めた。
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