最終幕:王子様はお姫様ですよ?

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「……やっと来たか」 「えぇ、命知らずの愚か者よ…あんな奴らすぐに消してくれるわ」 「……ああ、そうしてくれ…アイツの顔はもう見たくはない」 窓から顔を逸らし部屋を出ていく。 その少年は黒いフードを被り、フードから綺麗な銀に似た白髪が少し見えていた。 それは誰もが魅力する程の美しい少年だった。 ゴスロリの少女もうっとりとしていた。 「……秀明(シュウメイ)様」 少女は愛しいその名を小さく呟いた。 ―湊side― 城の入り口は堅い金属で閉ざされていた。 扉に触れようとしたら、寸前で凪さんが俺の手首を掴んだ。 「湊くん、触ったら電流流れるよ」 「うわっ!?」 俺は慌てて腕を引っ込めた。 危うく感電する所だった。 「静ちゃんの家とは違うのか?」 「…あの程度の結界は祐介だけで充分だったが、これは……」 シュッ パリン 秀一が言い終わる前に祐は銃で発砲した。 見事結界に命中して割れた。 「……こんくらい楽勝だな」 「…………」 「気にすんなよ秀一、大丈夫だって!!」 「……湊くん大変そうだね」 そんなワケで中に入った。 薄暗かったから祐の銃……ではなく、なんかホタルみたいに輝く凪さんの蝶で照らした。 祐より範囲が広くて助かる。 「………」 「大丈夫だって祐、お前結界破ったじゃん」 「…本当に大変そうだね湊くん」 中は広い城なのにあまり物がなくて少し殺風景だった。 しかし、微かに感じる胸の鼓動。 「………盗まれた妖刀が、ある」 全部か分からないけど、強い力が感じる。 奥に進むにつれ近くなる。 そして、ある一室のみ光に包まれていた。 「……あそこにあるのかも」 「行こう」 部屋に入ったのと同時に頬になにかかすめた。 それを理解する前に秀一に抱きしめられて身体が斜めに倒れてく。 そして無数の金属音がした。 祐と凪さんは構える。 俺はゆっくりとさっきまで居た場所を見る。 すると壁に何本ものナイフが刺さっていた。 「……いらっしゃい、姫と守護者共」 部屋の真ん中には、同級生の少女と猛獣が居た。
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