最終幕:王子様はお姫様ですよ?

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俺は秀一に手を引いてもらい立ち直した。 そして妖刀を構えた。 それに同級生の少女はクスクス笑った。 「ねぇ、凄いでしょ…この子私が召喚したのよ」 猛獣に触れて笑っている。 その言葉は祐にのみ言ってるみたいだ。 「……召喚?」 「あら、知らないの?……召喚魔士(ショウカンマシ)の事」 祐と秀一は知らないみたいだが凪さんはなにか知ってるようだったから凪さんに説明を求めた。 「凪さん、召喚魔士って?」 「召喚魔士……悪魔を呼び出す事が出来るモノの事、那智も召喚魔士だった」 那智……そういえば凪さんの仲間、だったっけ。 確かに那智も地獄の門番や鎧武者を召喚していた。 だけど彼女は普通の人間じゃ…… あ、そういえばゴスロリの少女が彼女を巫女の素質があるって言ってたって祐が言ってたっけ…… 「私に勝てないの、だから降参して……そうすれば佐久間さんだけ助けてあげる」 「……ふざけるな、俺だけ生き延びるくらいなら死んでやる」 「………そう、残念ね」 すると少女は腕を振り上げて、それを合図に猛獣が襲いかかる。 猛獣は秀一が出した虎と戦っていた。 しかし少女はまだ余裕だった。 「……ふふふ、まだまだ行くわよ」 そしてなにか日本語じゃ聞き取れない呪文を呟き今度は鎧武者と地獄の門番を大量に召喚する。 少女は召喚した後、ふと後ずさりベランダに逃げた。 「どうすんだよ、こんなに沢山」 「……湊、行け」 「え……」 「俺達が此処で足止めするから、安心して」 「……でも俺一人なんて」 「大丈夫だよ、湊くん…自分に自信を持って!」 三人に背中を押されて俺は敵を掻い潜りベランダに向かった。 ベランダに少女の姿はなく、屋上に続く階段があった。 すぐ後ろには戦う音がした。 俺が終わらせなきゃならない……戦いを… 階段を上った。 屋上に近付くにつれ闇の力が強まっていく。
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