暇ひまヒマ

3/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「暇だから別にいいけど、何するよ?」 「何か良いアイディアないの?」 「そんな急に言われてもなぁ」 正幸はたまに木の上で流行りの歌を熱唱しているけれど、それをしようとは言えないし。 「とりあえずちょっと話そうか。今からそっちに登っていくから」 「うん」 近くで見る弘子の顔は思っていたより穏やかで、肩ぐらいまである黒髪と首にかけたヘッドホンが、似合っていて素敵だった。 目鼻立ちもはっきりしている。目はそんなに大きくないけど二重だ。 「ちょっとぉ、じろじろ見すぎっ」 あっ怒った。怒っても、かわいい。 「弘子は何組?」 「さあ、わかんない。私転校生で、まだ学校に行った事ないし」 「じゃあいきなりサボってんの?すごいな」 「別に。学校の雰囲気が嫌いなの」 「あー、オレも。学校より、この森のほうが好き」 「本当に良い所ね。この木もポカポカしてて」 「でしょ?この森はね、きつね森って言うんだ。転校生なら知らないでしょ、案内しようか?」 「案内するって言っても、木しか無いんじゃないの?」 「そうでもないんだよなぁ」 正幸は悪戯っ子の笑い方をし、そう答えた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!