2人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「暇だから別にいいけど、何するよ?」
「何か良いアイディアないの?」
「そんな急に言われてもなぁ」
正幸はたまに木の上で流行りの歌を熱唱しているけれど、それをしようとは言えないし。
「とりあえずちょっと話そうか。今からそっちに登っていくから」
「うん」
近くで見る弘子の顔は思っていたより穏やかで、肩ぐらいまである黒髪と首にかけたヘッドホンが、似合っていて素敵だった。
目鼻立ちもはっきりしている。目はそんなに大きくないけど二重だ。
「ちょっとぉ、じろじろ見すぎっ」
あっ怒った。怒っても、かわいい。
「弘子は何組?」
「さあ、わかんない。私転校生で、まだ学校に行った事ないし」
「じゃあいきなりサボってんの?すごいな」
「別に。学校の雰囲気が嫌いなの」
「あー、オレも。学校より、この森のほうが好き」
「本当に良い所ね。この木もポカポカしてて」
「でしょ?この森はね、きつね森って言うんだ。転校生なら知らないでしょ、案内しようか?」
「案内するって言っても、木しか無いんじゃないの?」
「そうでもないんだよなぁ」
正幸は悪戯っ子の笑い方をし、そう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!