2人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
ただ今の時刻、午前7時40分。
目覚まし時計も携帯も二度寝に協力的だから、このまま布団に溶けてしまおうと思っていたのに。
「さっさと起きろこらー正幸っ。学校に遅れんぞー」
1階からタカ姉の声がする。うー、と返事らしきものをしつつも起きる気はなく。
最終的にベッドから蹴落とされ、布団をはがされ、服を着替えて家を出たのは8時10分だった。
学校には15分あれば着く。8時30分を過ぎれば遅刻。まだまだ余裕。
と、いつもの道を自転車で走っていたら、ふと寄り道したくなった。いやもうサボりたくなってきた。
そういえば1限目は化学だ。どうせ授業に出ても寝てるだけ。
高校へと続くゆるい坂道を右に折れた。高校がある大きな丘には、きつね森という林がある。昔は丘全体が森だったと聞いている。そこを目指して。
きつね森には虫が山ほどいるし足場も悪いから嫌う人も多いけど、正幸はこの森が好きでよく足を運んでいた。
今日もいつものように森を囲む柵の前に自転車を止め、中に入ろうとした。
その時、少し離れた所にもう一つ自転車を見つけた。正幸が通う高校の駐輪場のシールが着いた自転車だった。
「ん?誰だろうこんな時間に。学校をサボるなんて…仲間だな」
そんな事を言いながら少し胸が高鳴っていくのを感じた。
誰だろう?知り合いかな?
最初のコメントを投稿しよう!