最初の朝

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父親の仕事の都合で、西京市に引っ越してきた。自然が残っている穏やかな地域で、下見に行った通学路の両脇には田畑もちらほら見つけた。 高校は緩やかな丘の上にある林ノ宮高校。高校のすぐ近くには大きな林があった。丘の3分の1はこの林が占めていた。 自転車通学をすることになり、新しく自転車を買った。母親が勝手に買ってきたというべきか。 高校2年生のしかも5月という微妙な時期の転校。最悪だ。 父親が転勤族で、昔からよく引っ越しをした。転校するたび、周囲に友達は0になる。 教室ではすでにグループが何組もできていることが多く、全員が敵とは言わないが味方はいない。 残念ながら社交的な性格でもないので、毎回一匹狼のポジションになる。たくさん人がいる中で孤立し、教室に居場所がないのは、辛い。 次第に学校を抜け出すようになり、今回の高校に関しては一度も教室に行かないつもりだ。 もういやなのだ、たくさんの人が周りにいるのに、一人でいるのは。 1日目の今日は高校の近くに手頃な林を見つけたから、そこで音楽を聴きながら昼寝をし、弁当を食べて帰る計画だった。
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