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「食事の用意が出来ていますので良かったら…」
空腹には言われてから気が付いた
雅治は唸る腹を抑え食事に向かう事にする
そこには人一人いなく食べ物だけがぽつりと置かれていた
腹ごしらえがすんだ雅治は頭の整理が出来ずにいた
身体が空気を求めていたようだった
雅治の足は勝手に玄関へと向かっていた
すると男が話しかけてきた
「おう!もう大丈夫なのか!?」
「あ、はい お世話になりました
この服もありがとうございます」
雅治は浴衣とは言いにくい古汚いまるで時代劇に出てくるような服を指差した
「いいってことよ
あんな血だらけの服でうろうろされちゃこっちも困るからな
ところでお前どこの流れもんだ?
お前が着ていたあの服、見たこともないぞ」
その時雅治は重大なことに気付いた
雅治は腹の辺りにグルグルとしたものがわきあげて来たような感触だった
靴も履かずに玄関から飛び出す
ここに、いや、この『時代』にたどり着いた時には気付かなかった
目の前には空を遮る高層ビルもない カラフルなチャラチャラとした物を付ける若者の歩く姿もない
そこには紛れも無い 元いた場所とは別の『時代』の空が広がっていた
「どうしたんだ!急に飛び出して!」
「い、今は…
今は何時代ですか!?」
「何時代ておめぇ今は安政4年じゃねえか」
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