🌀

4/6
前へ
/48ページ
次へ
「見ていると食べる気無くなる……」 「最初は誰でもそうだよ。何回かやれば慣れるって」 骨は頭と一緒にアラ炊きにしよう。 小骨を取って、皮をはぎ、薄く切っていく。 朝子はしばらく無言だった。私は刺身を作るのに集中していた。 盛りつけた刺身を冷蔵庫へしまって、洗った包丁をすすいでいたところで朝子がぼそりと呟いた。 「……料理は上手、片付けも上手。洗濯だって難無くこなすし」 私は振り返った。 「もう、わたしの家に来ないで!」 朝子は悲鳴のような声で言った。 「そんな……」 うろたえた。私は何か気に障るようなことでもしたのだろうか。 いったいどうして朝子が突然そんな事を言うのか、分からなかった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加