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「見ていると食べる気無くなる……」
「最初は誰でもそうだよ。何回かやれば慣れるって」
骨は頭と一緒にアラ炊きにしよう。
小骨を取って、皮をはぎ、薄く切っていく。
朝子はしばらく無言だった。私は刺身を作るのに集中していた。
盛りつけた刺身を冷蔵庫へしまって、洗った包丁をすすいでいたところで朝子がぼそりと呟いた。
「……料理は上手、片付けも上手。洗濯だって難無くこなすし」
私は振り返った。
「もう、わたしの家に来ないで!」
朝子は悲鳴のような声で言った。
「そんな……」
うろたえた。私は何か気に障るようなことでもしたのだろうか。
いったいどうして朝子が突然そんな事を言うのか、分からなかった。
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