第一章

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ずっと昔見た新聞のコラムに載っていた。 目の不自由な祖父、祖母と、 生活保護をもらいながら住んでいる女子中学生がいて、二人の面倒を全部見てたが、ある日生活保護のお金を引ったくりされた。 これが地方ニュースになって、カンパが集まった。 役所は、そのカンパが臨時収入だからと言って、生活保護を打ち切った。 カンパの何十万円かなんてすぐになくなって、その子は役所に相談に来たけれど、役所は臨時収入があったから再開できないと伝えた。 何度か役所に姿を見せたのは確かだが、その度に追い返したようであった。 生活保護を再開してもらえなかったことは、祖父母に言えなかった。 心配をかけたくなかったのか、どんな心境かは今となってはわからない。 目の見えない祖父母にはちゃんとオカズを作って食べさせながら、 その子はずっと、自分は塩とご飯だけ食べていたらしい。 ある時、祖父母がそれに気が付いて、 どうして自分だけそんな食事をしてるのか問いただした。 その子は笑ってごまかした、その夜、首を吊った。
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