Chapter 2

2/42
前へ
/1028ページ
次へ
今日も晴天。 気温は高かった。 煌々と照りつける日差しが汗を乾かし、同時に噴き出させる。 両手で握り締めた木剣の柄から右手だけを放し、シャツの襟元を摘んで仰いだ。 気持ち程度の涼に満足してから、顎に滴る汗を拭って再び柄を握る。 翳した剣先は標的に真っ直ぐ向けられていた。 十字に組んだ木の板に荒縄を巻いて、この土臭い中庭の芝生に突き刺しただけの簡素な標的。 木板と切っ先に三十センチほど隙間を作って、静かに構えている。 そして…… 「はあっ!」 掛け声と同時に踏み込んで、剣を打ち下ろした。 ダンッと、鈍い音と手の衝撃を堪え、素早くもとの位置へ戻る。 素足で踏みしめた芝の感触が、くすぐったくもあった。
/1028ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13570人が本棚に入れています
本棚に追加