Chapter 20

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なすがままの彼女。 それが風帝だというのは、確かに冗談めいた話だ。 (ほんと。笑っちまうような話だぜ) 「わしらにとっちゃ、セシリアちゃんは可愛い娘や妹だ。 あの男が傷つけたんなら、わしらは許しておけんよ」 「グスタさん」 戸惑ったように、泣き顔のセシリアが巨人を見上げる。 グスタは彼らしい陽気な笑みで、スミレ色の髪をごしごしと撫でた。 次に発せられた言葉は、近づいてきた者達の一人だ。 「水臭い。はじめから言ってくれれば良かったのに」 氷帝ロイ。 「貴女が風帝であることには変わりない。 ならば従わぬ理由など、どこにもない」 片腕を失ったフリード。 他の隊員も、口々にセシリアに声を投げる。 「風帝様。全て終わった後、みんなで話をしましょう。 私も貴女と話がしたい。セシリア」 「マスター」 セシリアの瞳から、また一つ涙が零れ落ちた。 そして、 「悔しいけど、わたしの力はオウリーに通じませんでした。 みなさんお願いします。力を貸してください!」 カインは確かに感じた。 自分の心に火が灯るのを。 そして、その声が全員の顔つきを変えたのを。
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