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「ガキは最初から大人に頼ってりゃいいんだよ!
それとな……」
と、カインはセシリアの腕を掴んだ。
その手がネックレスを握っている。
「嬢ちゃんの魔法はダメかもしれねえが、こいつは話が別だ」
「……そうか」
セシリアはネックレスを剣へと変えた。
魔鉱石が材料の魔武器ならば、オウリーの支配を受けていないはず。
これならば――全てが雪のように白いこの細剣ならば、きっと魔神に通用する。
驚きとともに魔武器を見下ろすセシリアの瞳が、ようやく強い光を宿した。
「さあ。嬢ちゃんの声で命令してくれ!
俺らはなんだってやってやる!」
自分のことながら、実に現金なものだ。
風帝には恐る恐る従ってきたというのに、相手がセシリアだと分かった途端、序列など関係なくなる。
命を懸けることに、疑問さえ湧かなかった。
オウリーが両手を広げる。
まるで演じるように、声を響かせた。
「ようやく第二幕。待ちくたびれたぞ。
さあ、ここからが楽しみ時だ!」
その言葉に応えるように、再び魔法陣が現れる。
瓦礫混じりの荒野に一つ、二つ……その数は増え続けていた。
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